夏の音

投稿日: カテゴリー: 園長のことば

連日、猛暑が続いている今年の夏。‘お盆を過ぎたら北海道の夏は終わり’と言われていますが、まだまだ子ども達は夏の遊びを楽しめそうですね。とはいえ、秋の足音も近づいています。園庭でミ~ンミ~ンと鳴いていたセミの声は聴こえなくなり、とんぼが静かに飛びはじめました。

夏の音…子どもの頃、家のすぐ向かいが公園だった私は、朝ラジオ体操の歌を目覚ましに起き、急いで行って出席のハンコに間に合わせたことが思い出されます。公園のブランコをキィーコキィーコ、と漕ぐ音、草野球をしている子のカキーンというバットの音、自転車のブレーキ音、また、夜になると手持ち花火をする家族の楽しそうな声など、窓を開けていると爽やかな風とともに入ってくるその様々な生活音に心地よさや季節を感じたものでした。

現在では、騒音問題で花火をする場所に困ったり、ラジオ体操や盆踊りを取りやめにしている地域が多くあるとニュースで流れていました。心地よい音、そうでない音は人によって違うものだと実感する昨今、大人の事情で子ども達の五感を鈍くさせてしまうのは勿体ないとも思ってしまいます。

夏休み明け、園庭の芝を刈る音、刈られた芝や草の沸き立つ香りとともに子ども達の元気な笑い声が聞こえてきました。

石狩の暑い夏が終わり、秋から冬へと季節がめぐる2学期、小さな目、耳、鼻、手や足を使って自然と触れ合いながら四季を感じ、更に成長して欲しいと思っています。

2学期もどうぞよろしくお願い致します。

園長 泉川 由利子

二日間の成長

投稿日: カテゴリー: 園長のことば

夏、真っ盛りというような気温の高い日が続いた7月。園でも砂場遊びや水遊びなど、夏ならではの活動を存分に楽しむことができました。また、園庭の畑にはジャガイモの花がきれいに咲き、トマトやなすびが美味しそうな実をつけ、さつまいもはグングンと茎やつるを伸ばしています。子ども達は、自由遊びの時間などに水やりをしながらその成長に興味を持ち、収穫を楽しみにしているようです。

先日、年長さんのお泊り会が行われました。丸一日家族と離れて過ごし、家ではない場所、いつもと違う寝具で寝る、ということは、まだ5,6歳のこどもにとってはこちらが想像している以上に大変で不安があるかもしれません。そして、お子さんを送り出すご家族にとっても、実は勇気のいることかもしれません。この二日間、お子さん達は不安をよそに、どの活動も心から楽しみ、お友だちと一緒にできたこと、また、ひとりでやり遂げたことを喜び、自信をつけて家に帰ることができました。「楽しかった!!」「もう一回やりたい!」…という嬉しいみんなの言葉。これからのお子さんの自立と成長が楽しみですね。

明日から夏休みに入ります。ご家庭で過ごされる方、遠方に行かれる方、様々に過ごす中で、日本の伝統行事に触れたり、夏ならではの貴重な経験を沢山されることと思います。休み明け、またひとつ成長した子ども達に会えることを楽しみにしています。

一学期もご協力いただきありがとうございました。

園長 泉川由利子

どうぞ

投稿日: カテゴリー: 園長のことば

6月後半から気温の高い日が続き、子ども達は、汗びっしょりになって外遊びを楽しんでいます。虫網を持ってぴょんぴょんと飛ぶ小さなバッタを追いかける子は、「せんせい、12ひきもつかまえたよ。」と虫かごの中を嬉しそうに見せてくれます。また、「こっちきて。みてて。」と、手を引いてくれる子は、鉄棒で見事な前回りを披露してくれました。子ども達が楽しく、そして安全に遊ぶことができるよう、外の環境を整えて参りたいと思います。

先日、札幌駅で用事を足し、家路につくため地下鉄に乗り込みました。夕方の時間帯の車内は混んでおり、背中に大きな楽器を背負って両手に3つ荷物を持っていた私は、「あぁ、邪魔でごめんなさい…。」という気持ちで立っていました。すると、目の前に座っていた女子高生がさっと立ち、「どうぞ」と私に席を譲ってくれようとしました。咄嗟のことに「あ、大丈夫ですよ。」と言うと、「重そうだから…。」と、気遣ってくれたのでその気持ちが嬉しく座らせてもらいました。座っている間、「この女子高生はすぐ降りるのかな。疲れていないのかな。いつも自然にこんな行動ができる子なのかな…。」色々考えながら、素敵な子に出会ったなぁ、と、豊かな気持ちになっていました。園では子ども達に「お友だちのお世話をしましょう。」「困っている人を助けてあげましょう。」と教えています。自分の日常を反省し、ことばだけでなく何より大人が行動し手本となることが大切だな、と、女子高生に教えられた出来事でした。

今月は、七夕祭りなど季節の行事も開催されます。子ども達はどんなお願いごとをするのでしょうか?短冊に書かれた小さなみんなの願いが叶いますように。

そして、自分のことだけでなくひとのために願い、喜び、悲しむことができますように。

                                        園長 泉川由利子

おはよう

投稿日: カテゴリー: 園長のことば

さわやかな風が吹き、園舎前にはライラック、つつじ、ポピーなどの花が色とりどりに咲く季節となりました。土曜保育の日は、大学のグラウンドからよさこいソーランの練習をする学生さん達の気合いの入った声と大きな音楽が聞こえてきます。初夏の訪れももうすぐですね。

朝、玄関のチャイムが鳴り、子ども達が次々に登園してきます。「は~い」と、インターホンを繋ぐと、「○○です!」と、自分で名前を言って元気に入って来る子がいます。また、毎日職員室に顔を出し、「おはよう」と言いに来てくれる子もいます。乳児さんは、言葉の代わりに「バイバイ」の身振りや笑顔で挨拶してくれます。

園の朝は、挨拶から始まります。まだ調子が出ない子、少し眠たい子、泣いて登園してきた子…朝の子ども達の様子は日によって様々ですが、お互いの目を見て挨拶し、コミュニケーションをとることで「よく来たね、待ってたよ。」という気持ちが伝わり、園に居場所があるという安心感を持つきっかけになってくれれば、と思っています。まだ恥ずかしくて中々言えない子には、その表情を見て「おはよう…」の心の声を想像しています。自然に言葉が出てくる日を楽しみに、焦らず積み重ねていきたいですね。

この良い季節、園庭でシャボン玉を追いかけたり、花びらを使って色水あそびを楽しむ乳児さんの可愛らしい姿が見られます。また、外遊びの後、学年別にマラソンをする幼児さんの足も少しずつ速く、軽快になってきました。夏の遊びや運動を通して友だちとのかかわりを広げ、充実して過ごして欲しいと思っています。

園長 泉川 由利子

小さな優しさ

投稿日: カテゴリー: 園長のことば

新年度がスタートし、約一か月が経ちました。

大学構内の桜が開花し、園庭には空高くこいのぼりが泳いでいます。新しい生活で緊張気味だったお子さん達も先生やお友だちに慣れ、親しみをもって生活するようになりました。外遊びも始まり元気いっぱいのお子さん達。お散歩や遠足で沢山歩いて、丈夫な身体と心を育んで欲しいと思っております。

朝、泣かずに頑張って登園してきた新しい年少さん。お帰りの頃、寂しくなったのでしょうか。我慢できずに涙が溢れてしまいました。その子を抱っこし、絵本を読んだり遊びに誘ったりしながら一緒にバスを待っていると、側にいたひとりの子が黙ってその子の頭を撫で、もう一人の子は涙でいっぱいになった顔を見て「泣かないでね。」と言ってティッシュを差し出してくれました。昨年まではお世話される側だった二人が、自分より小さい子、困っている子に精一杯優しくしてくれたその姿に心の成長を感じました。泣いていた年少さんの心の拠りどころとなり、互いに育ち合っていくことでしょう。

5月は、マリア様の月です。いつも、私達を見守って下さる、みんなのお母さんであるマリア様のように、優しく温かい、愛に溢れた人になれますように。    

戦禍の中にいる方、貧困に苦しんでいる方がいることを忘れず、その人達のために祈り、小さな力を貸すことができますように…。  

園長 泉川 由利子